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2022/10/26
キャンプキャンプ飯レシピ"BOM’s KITCHEN" vol.22「金属のおはなし」
こんにちは!!
GARAGE スタッフのBOMです!
ブログ書くたびに言ってることですが、日に日に寒くなっていってますよね~!!
そろそろ朝晩は10℃を下回るキャンプ場もかなり増えてきたころかなと思います。
秋キャンプも本番、そろそろ冬キャンプっていうシーズンに差し掛かり、
ガレージにもこれからの時期に使える寝袋やストーブを探しに来たり、冬キャンプの相談をしに来てくれるキャンパーさんが増えてきました◎
そしてこれも毎回言っていることなんですが、寒くなってくるとより一層焚き火が楽しくなったり、ストーブで暖を取る心地よさを味わえたりします◎◎◎
これぞ、冬キャンプの醍醐味!!!
前回のブログで、ストーブのPASECO WKH-3100Sを使って料理をしたレビューをさせてもらいましたが、
これからの季節は様々な熱源で料理をできるようになる、いわばキャンプ料理好きにはたまらない季節!!!
料理のバリエーションも増えるので腕が鳴るわけです。
でも、ここで1個気になったことが
熱源ももちろんだけど、調理器具によって料理の仕方やレパートリーも変わってくるし
登山でも使えるような軽量なクッカーから、ダッチオーブンや鉄のフライパンのように重量感のあるものまで、様々な選択肢があるから調理器具ごとに何が違っていて、自分どれが合っているのかが分からない
そんなキャンパーさんもいらっしゃるのではないでしょうか???
形や容量だけならまだしも、アルミやら鉄、さらには銅など材質もいろいろあり過ぎて、さらに難しくなっちゃってはいないでしょうか??
そこで今回は、色んなクッカーに使われている材料の説明と、それぞれのメリットデメリット、そしてどんな料理スタイルに向いているのか僕なりにご説明させていただきたいなと◎◎◎
実は僕、大学と大学院の計6年間、こういった調理器具にも使われる金属の材料の勉強をしておりまして...
その辺のこと考えるのも大好きなので、ちょっと長くなっちゃうかもですがぜひお付き合いください!!!
まず、いきなりですが
“料理は科学”
です。
調味料を加えて様々な反応を起こさせたり
食材に熱を加えてタンパク質を変質させたり、繊維を弛緩させたり
美味しいご飯を作るための工程は基本、理論的に説明できる物事で成り立っています。
そして、調理器具の材料がそんな科学的な面での調理工程にどう影響するのかというと
金属の種類で熱の伝わり方が変わる
こんな理由があります。
熱源から調理器具へ熱が伝わり、そしてそれが食材に伝わる
こうやって調理が行われていくわけなんですが
金属の材料によって、その熱伝導率や比熱・密度が異なるために、
同じように調理したとしても、とあるお鍋では簡単に焦げる一方で、別の鍋では焦げずにしっかりと調理ができる
なんてことに繋がってきます
まずは、この熱伝導率ですが
これはご存じの方も多いと思います。
熱の伝わりやすさ
熱が伝わる速さ
を示す指標です。
熱源から来た熱を、直接熱にさらされていない部分
つまりは鍋の壁面だったり中に入っている食材だったりに伝えるのが早いかどうか
熱伝導率が低いと、例えばアウトドアのガスバーナーでよくありがちな、火の噴出口が中央に寄っている場合にはバーナーの火に直接接している部分だけが集中的に熱せられて高温になってしまうため、その近くの食材は焦げているのに鍋の端っこにある食材には火が通ってすらいない
そんな状態になってしまいます。
逆に熱伝導率が高いと、上で書いた火が中央に寄っているバーナーでも鍋全体がまんべんなく加熱されやすいので、焦げにくく、均等に調理がしやすいなんてことになります。
そして次に比熱・密度
密度は皆さんご存じ、体積当たりの重さを示す指標で、簡単に言えば
密度の低い材料は軽い
そんな認識になるかと思います。
なんでこの密度が調理における熱に関係してくるのかはまた後程
そして、比熱
これは、材料そのものの温度を上げるために必要な熱の量
細かく言うと、1gの材料の温度を1℃上げるために必要な熱の量を指すものです
同じバーナーで同じ火力で加熱しても、比熱が大きい材料であれば室温から100℃まで熱するのに時間がかかるのに対して
比熱の小さな材料であればすぐに100℃になる
こんなイメージです。
そして、この比熱は温度を下げるときにも同様で
比熱が大きいほど温度を下げるために放出する熱が大きいので
比熱が大きいほど冷めにくく
比熱が小さいほど冷めやすい
そんな材料になります。
あと、調理器具の重さはその体積×密度で計算することができて
当然材料によって密度は全然違う
同じ直径のものでも、ステンレス製のクッカーとアルミ製のクッカーでは重さ全然違いますよね
だから、比熱だけじゃなく密度も考えてあげる必要があるので、今回はこの比熱・密度から考えられる体積当たりの熱容量を指標としていきます。
この体積当たりの熱容量が料理にどう影響しているのかというと
実はちょっと上で書いた冷めにくさという特性がとっても重要◎
例えば、ステーキを焼くとき
まずフライパンをしっかり熱してから焼きますよね
表面にしっかりと焼き目を入れていきたいところですが、
どうしても生のお肉は冷たい状態からフライパンの上にONするわけなので
お肉の温度でフライパンの温度を下げてしまったりする
そして、その温度低下が大きいと、お肉の焼き加減の調節が難しくなってしまうのです。
やっぱり温度も安定している方が焼きやすいですからね◎
まぁ、簡単に言うと比熱が高くて密度の大きい、体積当たりの熱容量が特に大きい調理器具が一番温度が安定する
というお話です。
いかがですかね??
かなり長いこと語ってしまってますが、ご理解いただけてますでしょうか???
ここで小休憩...
とはならず
まだまだこのブログは続きますのでしっかりとついてきてくださいね◎◎◎
そしてここからが本題、材料による違いのお話です。
さっき言った熱伝導率・比熱・密度を踏まえてそれぞれの特徴とおすすめの使い方を説明していきまーす◎
1 アルミニウム
まずは、軽量クッカー用材料の代表格アルミです。
GARAGEに置いてあるもので言うと、代表格は
この辺ですよね!
軽いし、錆びないからメンテナンスが簡単で便利なこの材料は
熱伝導率が銅に次いで高い!
比熱も実は他の金属たちに比べて特に高い!!でも密度も一番低いために体積当たりの熱容量で言えば、低め...
つまり、アルミの調理器具なら、熱がまんべんなく伝わって焦がしにくいけど
お肉焼くときなんかは少しフライパンの温度が下がりやすくて温度が不安定△
そんな特性を持っているんです◎
これがアルミ!!
熱伝導が高くて軽いって言うだけで、かなり優秀なんですが
ちょっとした落とし穴が...
実はこのアルミ
他の金属と比べても融点がかなり低くて純粋な、アルミなら660℃ほど
つまり加熱していると融点近くまで達して柔らかくなって変形してしまう...
だから、基本的に空焚きが厳禁な材料なんです
もちろん、ステーキを焼く前にしっかりと加熱するときも、注意が必要
さらには、もともと柔らかい金属だからステンレス製のトングなんかで擦ると削れてしまう場合もあって、そこも注意が必要
つまり、僕みたいにガンガン火にかけて、豪快に料理したい人にはあまり向かない部分もある△
特に、アルミの表面にフッ素加工をしているタイプのアイテムは、焚き火での使用不可だったりもします。
なので、やっぱりスープを作ったり、ゆでたり煮込んだり
後は木べらや柔らかいカトラリーを使って、丁寧にお肉を焼いたり
そんなことに使ってもらうのが良いと思います◎
2 チタン
コレも軽量クッカー用材料の代表格チタン
このチタンは、密度はアルミニウムに次いで小さく、しかも強度も高い金属だから薄く使うことができて、最も軽くクッカーを作ることができる材料といえます。
そして比熱も髙い
ここまで聞くとアルミと近しいものなのかな??と思いがちですが、
決定的に違う点が1つ
熱伝導率が低いこと!!!
今回ご紹介する金属の中でも特に低いので、つまり煮込み料理とか作ろうと思うとどうしても焦げてしまいやすい
ごはんを炊くのにも、とにかく弱火で炊いてあげないとどうしても焦げちゃうので、チタンのシェラカップとOKAMADONの組み合わせで炊くときは注意が必要です◎
それを補うためにも便利なのが、UNIFLAMEのバーナーパッド!!
バーナーとクッカーの間に挟むことで、バーナーからの熱を広げてくれるので熱伝導率の低い金属でも焦げにくくなるのがとっても良い◎
是非組み合わせて使ってみてください◎
あ、ちなみにチタンの融点は約1700℃ほど
だからガンガン加熱しても大丈夫なのでご心配なく◎
3 銅
次は、プロ用の調理器具なんかにも使われる、銅
特徴はなんといっても、熱伝導率が高いこと!!
アルミでもかなり高いのに、それのさらに倍近くあるんです!!
だから、熱のまわりが良い
そして、密度は今回の金属のなかでも1番大きい!!
でも比熱は一番低いんですが、密度が高いので、体積当たりの熱容量で考えると、一番高い◎
つまり、どんな料理にもめっちゃ向いてる!!
それが銅です◎◎◎
実際にGARAGEにも、コッパーオークポットや、カッパーウェアのフライパンなど、銅の特性を生かしている調理器具は沢山!!
欠点があるといえば、やはり重いことと、大きな鍋なんかになると高価になりやすいこと
そして、青錆びが発生してしまうことです。
銅を濡れたまま置いておくと、ちょっと特殊な青い錆が出る
やはり少しケアを要するものにはなります。
でも、しっかり使って行けば、味も出てくるし、何よりいろんな料理がおいしくできるのでオススメです!!
4 ステンレス
つぎは、おそらく家庭用も含めて、最も目にすることの多いステンレス
英語ではstainless つまりstain(汚れ)がless(少ない)
汚れにくく、錆びにくい
だからお手入れがとっても簡単なのがこのステンレスの特徴なんですが、
実はこのステンレスの主成分は鉄
錆びやすいあの鉄なんです
じゃあどうやって錆びにくくしているのかというと、鉄にCr(クロム)という金属を加えた合金にして、クロムの性質を利用してさびにくくしているんです!!
このクロムがたくさん入っているほどさびにくいけど、もちろん入れれば入れるほど良いっていうわけでもなく、
色んな兼ね合いを考えながら材料メーカーさんは開発に挑んでいる
そしてこのステンレスの熱に関する特性は、
熱伝導率はチタンに次いで低い
でも、比熱も低いんですが、密度が高いため、体積当たりの熱容量は高い
冷めにくいけど、そもそも熱が伝わりにくいという感じです。
なので、基本的にはチタン同様、結構焦げ付きやすい調理器具になりがちです。
家庭用のコンロなら、火の噴出口が広くしてあって熱が集中しにくいから焦げないけど、アウトドアのバーナーではご注意を!!!
あ、ちなみにEAGLE PRODUCTSのCAMP FIRE POTやSTEAK PANは、ステンレスの外側に銅をめっきしているので、熱のまわりを早くしている
こんな技もあるんですよね!!
5 鉄
最後にご紹介するのが、僕の大好きな鉄!!
これは、調理器具の作り方によって大きな違いがあるので、その違いも含めてご説明していきます!!!
まず、鉄製の調理器具には、鋳鉄製のものとそうでないものがあります
鋳鉄(cast iron)とは、高温に熱して溶かした鉄を、鋳型という型に流し込んで冷まして作られたもの
比較的かんたんに作れるから、コストが低い傾向にあります◎
ただ、薄く成型するのが難しい場合が多く、ダッチオーブンやスキレット等に代表される鋳鉄製の調理器具は分厚くて特に重いものが多いんです!!
そして気になる熱に関しては、熱伝導率は鉄板などに比べると低く、ステンレスよりは高いという感じ
そして、比熱はステンレス同等で、密度も同じぐらい
ていうわけで、熱にかんしては、ステンレスよりも少し熱が伝わりやすくて温度は安定しやすい
これが鋳鉄です。
ただ、今回ばかりはそれだけでなく、厚みも重要
厚い分、特に温度が安定しやすく、ステーキなんかを焼くにはかなり向いているんですよ!!
スキレットとかで焼いたステーキが美味しいのはこれが理由なんです◎
あと、蓋の上に炭を置いてオーブンとして使えるダッチオーブンに使われるのも納得ですよね◎◎◎
そして、鋳鉄以外の鉄の調理器具といえば、鉄板やターク、millioに代表されるフライパンなどですよね!!
これらは、鉄の板をたたいて作る鍛造という作り方をしているものが多く、鋳鉄と比べても熱伝導率が高い◎
そして、比熱や密度は鋳鉄とほぼ同じなので温度も安定しやすい。
鋳鉄はどうしても厚く重くなってしまいますが、鍛造鉄は薄く作ることもできるので、軽量にもしやすい
だからアウトドアにも持っていきやすいのも人気の理由の一つかなと!!!
実際僕は鍛造鉄フライパン4つ持っているぐらい、鍛造鉄オタクだったりします...
大好きだからこそ、これで焼いたステーキが1番美味しいって思っちゃったり…
そう言うのもキャンプの醍醐味だったりしますしね!!
いかがでしたでしょうか???
今回は、いつもとはガラッと雰囲気を変えて、僕の好きなことをがっつり語るブログにさせていただきました。
鉄や銅が好きな僕はどうしてもその辺に気持ち入っちゃいがちですが、軽量性を実現してくれるアルミやチタンも、アウトドアでの調理にはなくてはならない存在です。
あと、僕よりも豊富な知識を持っているキャンパーさんもたくさんいらっしゃると思うので、ぜひぜひ今回の内容に関してもお話させていただければなと!!
この機会に、また金属のこともっと知りたくなったので!!!
あ、次回はがっつり料理するブログにします!!!
そしたら、また次のブログで!!
GARAGE CAMP STORE BOM
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